2021/10/03
徹底解説!無垢フローリングのメリット・デメリット
リノベーションや注文住宅の内装を検討する際に、無垢フローリングというワードを聞いたことがある方は多いと思います。
今や無垢フローリングはリノベーションなどの代名詞ともなるほどの人気を集めており、大々的に無垢材を前面に押し出した住宅広告も見られます。
目次
1.無垢材のタイプ
2.無垢材のメリット
3.無垢材のデメリット
4.無垢材は持ち家には◯ 収益物件には△
5.知ると楽しい木の世界
6.無垢フローリングは見て触って選ぼう
7.まとめ
今回は無垢フローリングって聞いたことはあるけどよくわからない、そもそも無垢ってどういう意味なんだろう、といった方向けにその特徴や性質を解説していきます。
最近では当たり前に見かけるようになった無垢フローリングですが、2000年ごろからじわじわと流行の兆しが見え始めました。
無垢フローリングとは、天然木から切り出して1枚に加工した自然素材です。
フローリングは主にこの「無垢フローリング」と、木板を接着剤で繋ぎ合わせた「複合フローリング」に分かれます。
一般的に普及しているのは「複合フローリング」となり、無垢に比べて安価で反りにくいという特徴があります。
また無垢床材の中でも、1枚板のOPCと木材を継いだUNIの2タイプに分かれ、UNIの方が安価になります。
無垢材のタイプ
無垢フローリングは大別して針葉樹と広葉樹に分かれます。
針葉樹は柔らかく傷はつきやすいですが、比較的安価であり、また密度が低いことによって空気を繊維内に多く含むため、冬場のひやっとした感触を軽減してくれます。
広葉樹は固くて密度が高く、住宅建材としての頑丈なことと寿命が長いことで重宝されています。
ただ針葉樹と比較するとやや高価であり、樹種によっては数倍の価値のあるものもあります。
室内でも靴を履いたまま生活する文化の欧米では広葉樹はとても人気があります。
英語圏では木材の硬さの特徴から、ソフトウッド・ハードウッドといった呼ばれ方をします。
針葉樹:葉が針のように細長く堅い葉をつけるマツやスギなどの裸子植物球果植物門の樹木のこと。
広葉樹:葉が平く広い樹木が多く、ナラ・サクラ・チークなどが愛用されています。
無垢材のメリット
素材感
無垢はシートや突き板仕上げの複合フローリングでは出せない温かみのある素材感が最大の魅力です。
触ってみると、さらさらした感じや木材の堅さを指で感じることができます。
張り替えてしばらくは木の香りを楽しめるのも大きな魅力です。
無垢フローリングには針葉樹から加工したものと広葉樹から加工したものがあり、特徴が違います。
針葉樹は軽くて柔らかく、広葉樹は堅くて重い特徴があります。
断熱性・調湿性
無垢材には木が本来持っている調湿作用があるため、余分な湿気は吸収し、乾燥すると湿気を排出します。
繊維の中に空気を含んでいるので、冬でも床のヒヤッとした感じを緩和してくれます、
一般的な複合フローリングが12.5㎜厚なのに対して無垢材は15㎜厚というのも断熱性に一役買っています。
耐久性
複層フローリングは合板の上に化粧材が乗っているような仕上げなので、表面がだめになってしまうと張り替えになります。
補修するという手もありますが、範囲が広いとコスト的に張り替え費用の方が安くつきます。
しかし単層である無垢材であれば、金太郎飴のように、表面を削れば新築時と変わらない状態まで戻ります。
無垢材のデメリット
高価である
無垢フローリングは複層フローリングに比べ、2〜3倍の仕入れコストがかかります。
さらに仕上げとしてオイルを塗らないとすぐに汗や水を吸ってしまうのでこちらにも追加でコストが発生。
トータルとしては複層フローリングの張り替え費用の3倍程度は見ておいた方が良いでしょう。
安定性に欠ける
無垢フローリングは天然素材であるが故に湿度によって収縮を繰り返しています。
そのため床鳴りや溝が広がってごみが溜まりやすく、生活する上でストレスを感じることも。
また自然素材なので、直射日光の当たる箇所は変色してしまうこともあります。
無塗装で質感を味わいたい方は、さらに水や染みに注意が必要です。
メンテナンスが必要
標準的な複層フローリングはコーティングがされており、10年程度は耐用すると見られています。
対して無垢材はオイル仕上げが一般的です。
こちらは2年〜3年で塗り直しが必要になり、その度に家具を移動して塗り直さなければなりません。
無垢材をコーティングすることもできるのですが、それだと自然素材らしい質感が損なわれてしまい本末転倒になってしまいます。
結論:無垢材は持ち家には◯ 収益物件には△
たくさんのデメリットをご紹介しましたが、それでも無垢材が人気なのはやはり天然の自然素材にしかない質感です。
裸足で生活したくなるような無垢の質感は、生活する上でのささいな問題は障害にならないということですね。
収益物件を✖️ではなく△としたのは、コストや手間を差し引いても無垢材の魅力は大きいからです。
実際に収益物件のマンション再販会社さんでも無垢フローリングを採用したブランディングが増えています。
今回の解説では触れませんでしたが、無垢・複合の双方の利点を活かした3層フローリングというものも存在します。
ただしこちらも非常に高価なので、費用対効果が重要視される収益物件での採用は慎重になさった方が良いかもしれません。
知ると楽しい木の世界
無垢フローリングには大別して針葉樹と広葉樹に分かれるとお話ししましたが、樹種が全体でどのくらいあるかご存知でしょうか?
針葉樹の樹種が540種と言われているのに対して、広葉樹はなんと20万種以上と格段にバラエティーに富んでいます。
一般的には針葉樹より広葉樹の方が重くて硬いのですが、広葉樹はその樹種の多さもあって性質も実にバラバラです。
広葉樹でありながら世界一軽い木として知られるパンヤ科のバルサは、発泡スチロールのように軽くて柔らかく、模型飛行機の材料として使われています。
反対に世界で一番重い木とされるハマビシ科のリグナムバイタは、船舶のスクリューの軸受けなどに使われ、金属の加工機械がないと切れないほど硬い性質を持っています。
このように同じ広葉樹であっても正反対といった性質を持つのが木材のユニークなところです。
無垢フローリングは見て触って選ぼう
住宅建材として使われる樹種は極端に性能に偏りがあることはありませんが、それでも種類が多いと迷ってしまいます。
どのような暮らし方あるいは空間デザインを求めるかによって、最適な無垢フローリングの樹種は変わってきます。
スマートフォンやパソコンから選ぶこともできますが、あまりおすすめいたしておりません。
なぜなら無垢フローリングの魅力は肌触りや質感など、実際に手にとって見てみないとわからない部分が多いからです。
通常の複層フローリングより高価な買い物ですので、実際に張ってみたらイメージと違った、なんてことはできるだけ避けたいものです。
工務店やリノベーション業者に依頼すればサンプルを送ってもらうことができるのでぜひ遠慮なく活用しましょう。
まとめ
無垢フローリングは以前まで大工が施工しにくかったり、品質に安定性を欠くことも少なくありませんでした。
しかし近年は需要が高まったことで販売業者が増え、品質や価格の低下・安定的な供給の大きな向上が見られています。
「リノベーションといえば無垢材」というくらいに認知は上がっていますが、それでも建築物の全体で見ればまだ1割に満たない程度でしょうか。
私自身大好きな無垢材の魅力をたくさんの方に伝えられればと思います。
無垢材のメリット・デメリットを知って、後悔しないオンリーワンの新生活をお楽しみください。
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